豊鹿島神社の境内社3 社殿右下側

 豊鹿島神社の社殿から右側、奥宮に行く道筋の石段右に、二つの祠があります。一つは相殿で愛宕神社、白山神社、その右に滝沢大明神がまつられています。

豊鹿島神社境内社3 本社殿右側石段右 クリックで大

1愛宕神社

 愛宕神社と白山神社は二社の相殿になっています。
 愛宕神社の説明板には「愛宕神社(火産霊命=ほむすびのみこと)火難消除」と記されています。

相殿・左愛宕神社・右白山神社、右側・滝沢明神社 クリックで大

 創建に関する事項は不明です。江戸時代の地誌『新編武蔵風土記稿』には、
 豊鹿島神社末社として、白山祠、子ノ神祠、山王祠
 をあげ、「本社の左右にありいずれも僅かなる祠なり」としています。江戸時代末には愛宕神社の名前が出ていません。

 一方、江戸時代末から明治初年の記録を残す『狭山之栞』は芋窪村の「神祠」として
  子神、石神、滝沢、山王、弁天、稲荷、大六天、羽黒、神明、熊野、愛宕を記しています。
 この記事から、例えば、愛宕社も滝沢社、熊野社のように豊鹿島神社境内ではない地域にまつられていたことも考えられます。

 また、江戸時代中期に芋窪村の人々が現立川市栄町付近に新田開発を行なったとき、その地に親村から愛宕神社を勧請したことが伝えられます。現地に新しく愛宕社が造立されています。江戸時代には、そのような状況と村人達の熱い信仰がありました。

2白山神社

 相殿の右側が白山神社です。
 表示板に「御祭神 伊裟那岐命(いざなぎのみこと) 延命長寿 五穀豊穣」と記されています。

 普段は祠の扉が閉ざされています。祭礼の場合など扉が開かれることがあり、祠の中に石碑があります。
 次のように刻まれています。

左愛宕神社 右白山神社
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 正面
  人皇百六代後奈良院御宇
 白山大権現 祭主 梅満
      願主 石川磨呂
  天文三歳甲午(1534)十一月三日

 右側面
  文化丁卯四歳(1807)二月□日
  武蔵国多摩郡芋久保村 
    祭主 石井市之進 
    世話人 尾又七郎左衛門 石井武左衛門 高杉糸兵衛 栗原七左衛門 石井勘兵衛

 左側面
  願主 石井甚八 進藤善衛門
  氏子中 須賀沼平衛門 清野半左衛門
  (東大和市生活文化財調査概要報告書p15、拓本は東大和市史資料編8p21にあります)

 碑の建立は天文3年(1534)、願主は石川麿呂になっています。石川麿呂は豊鹿島神社の創建伝承(707年)に現れる名前です。どのような関係にあるのかは不明です。
 この時期、芋窪地域は武蔵へ進出してきた後北条氏の支配下にありました。しかし、氏綱の勢力は安定せず、山内上杉氏や三田氏の動きが敏感に地域へ影響している時期でした。東大和地域がどのような勢力下にあったのか明らかではありません。そのような状況下で刻まれた石川麿呂はどのような人物であったのか興味をひきます。

 なお、右側面の文化4年(1807)は、この碑の建立された年と思われます。祭主、世話人とも、地元芋窪の村人です。同じ年に、村山貯水池に沈んだ区域に滝沢明神社碑と雷大明神碑が建立されています。いずれも願主は石川麿呂です。この年、芋窪地域一帯に石川麿呂を巡る何らかの動きがあったことが推定されます。

3滝沢明神社

 白山神社、愛宕神社の両社相殿と並んでその右側に滝沢明神社の祠があります。現在の上貯水池、村山貯水池管理事務所の付近にまつられていました。村山貯水池の建設に伴い、大正期にその地から、遷ってきました。

滝沢明神社 クリックで大

 祭神は不明です。祠の中に、笏(しゃく)を膝の上にたてた座像と下の銘文が刻まれた石碑があります。

 正面
  人皇百四代後土御門御宇
 滝沢明神社 祭主 若満
      願主 石川磨呂
  文正元(1466)丙戊十月三日

 右側面
  文化丁卯二月□日(1807)
 武蔵国多摩郡芋久保村 
   尾又七郎左衛門 石井武左衛門 高杉糸兵衛 栗原七左衛門 石井勘兵衛
  祭主 石井市之進

 左側面
  願主 石井甚八 進藤善衛門
  氏子中 須賀沼平衛門 清野半左衛門(東大和市生活文化財調査概要報告書p15)

 不思議なことに、この銘文は神名と正面の文正元年(1466)十月三日を除いて、関わった人々は上記の白山大権現と同じ人名が刻まれています。また、文正元年(1466)十月三日は豊鹿島神社本殿の創建棟札に書かれた年月日と同じです。

 石碑の作られた文化四年(1807) 二月には、すでに紹介した①白山大権現(豊鹿島神社境内)、②雷大明神(村山貯水池に沈んだ石川)、③滝沢明神(村山貯水池内)の三碑が同時に作成されています。
 解明されていませんが、この年に豊鹿島神社周辺でこれらの碑を造立し、豊鹿島神社の崇拝を強める何らかの動きがあった事を推測させます。

 石段を登って上の諸社を訪ねます。

 (2018.11.21.記)

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