金魚の悲劇

金魚ヲ猫カラ守レナカッタ
横幅60㎝水槽が3個(高さ35㎝横60㎝)に金魚が、10匹~15
匹ずつ飼っていた。2年前二匹の赤白のつがいの金魚を買ってきた。
その2匹から卵が生まれ100匹くらいの稚魚が育って友人達等に
分けたりして残った金魚を3個の水槽に入れて飼育していた。

アル野良猫ノ暮ラシ
わたくしの住んでる町は、50年前に宅地造成された戸建て
の老夫婦2人か、一人暮らしの老婦人または新しく引っ越し
てきた40~50代の子どもずれの家族が住んでいる。
猫を飼っている家は殆どなくなんの邪魔も入らず悠々と生き
ています。実は、1日に3回決まった時間に密かに餌をくれる
年寄りがいます。誰にも見つからないように物置に時間通り
に餌が置いてあります。

初夏、水草の根に透明の粟粒状の卵が無数についているのを
発見する。別の
水槽に卵のついてる水草を移す。1週間して
透明の卵は、多少白くなっていく。

2週間が過ぎた頃に、目玉だけ目立つ稚魚が水槽の隅に見当
たる。2~3匹
と思ったのがあちこちに泳いでいる。その数
は、100匹以上になっていた。孵化した。

そこで、金魚の稚魚を育てるにはどうすればいいか熱帯魚屋
に聞きに行った。
ミジンコの人工餌(粉)を水に溶かしてス
ポイドにて稚魚のそばに吹き付ける
ように与える。

気がついた時、私は、捨て猫になっていました。
生きていくために優しくしてくれる人間を頼り餌を求めて
生きていくしかありませんでした。
私は、自分で言うのもなんですが、白を基調として黒の
ブチにあざやかな茶のアクセント模様がバランス良く配さ
れてビネコの部類に入ると思っています。

水槽がこの100匹の稚魚を収容しきれなくなり(酸素不足
で窒息)水槽を2個に増やすことにした。5㎜から1㎝と成
長するに従い餌を与える手間がかかる。
水も汚れが目立ってきた。水替えは、稚魚を吸い込まない
ようにスポイトの大きい物を使って汚れのひどいところか
ら水を吸い込んで捨てる。捨てた分を新しい水を足してい
く。汚い水を全部替えるのは無理である。

私の生活範囲には、飼い猫は殆どいませんでした。たまに
遊ぶのはタマちゃんでご主人は、新宿の書店に勤めている
OLのきみ子さんで帰りが遅くて疲れていて遊んでもらえな
いそうです。部屋から出られず1日中留守番です。
時には、外に出られ出られるのは、夜遅く散歩に出るくら
で土曜、日曜には遊んでもらえるとのことです。
従って、私と遊べるのは、夜遅い時間です。

稚魚の成長は早いもので半年が過ぎた頃にはもうミジンコ
の人工餌は不要となり成魚用の
小粒の餌を与えても食べ尽
くすほどの食欲旺
盛となった。
2㎝ほどになると色がでてくる。

親の色柄は、赤と白の模様のため赤が色濃く出るものから
白が多く出るものなど様々であ
る。

私も猫の春に目覚めてネコ恋しい年頃となりましたが、オ
ス猫と会って声をかけられても横を向いて走り去っていま
した。
小さい頃から2~3匹の遊び友達はいましたが深い付き合い
はありませんでした。
どちらかと言えば内気で付き合いがいいほうではありませ
んでした。捨てられてから情の温かさに触れることなく生
きてきました。

1年、2年とドンドンと大きく育つ様子はウキウキと見守
りながら餌を朝、晩と欠かさず与え水替えも頻繁
に行なっ
た。赤と白の色柄は、赤色の多いものが多く
白色に赤色が
適当にバランス良く彩色されている色柄
の金魚は数少ない。
1割ほどは色がつかず鮒に近く灰
色のままで、鮒に先祖
返りしたかと思われた。

 

 

ある日のことです。今まで会ったことのない雄ネコを見ま
した。なにか匂いが違う目眩く迷路に入り込んでしまった
ような気持ちに浮かれました。彼は、鋭い目つきを投げか
けて通り過ぎて消えてしまいました。
2~3日して再び会いました。そのときは、彼は、近くま
で寄ってきてお尻のあたりに鼻をくっつけてからおもむ
ろにグルグルーと泣いて通り過ぎていきました。その声は
何か好意的な誘いの声音を感じました。

 

幼魚の成長は、めざましく見る見るうちに5㎝~10㎝
成長して水槽を増やさざるを得ず2個増やした。

水槽用セットも備えて健康管理に気を配った。成長に
い片目がつぶれているものや尾びれが曲がっている
もの
もいた。3つの水槽に15匹~20匹の金魚が右に左に上
へ下へと泳ぎ廻るのは見ていて楽しかった。卵を孵化さ
せてここまで育てたことの満足感にしばし浸っていられ

た。

 

久しぶりにタマちゃんと会いました。かな女の変貌ぶり
にビックリ。可愛らしかったあどけなさがすっかり消え
て色香を回りに漂わせ隠せない自分以外の異質の生き物
に触れて体質までが染められ毛並みは色艶が輝いて妖艶
さが匂っていました。
タマちゃんは、言葉少なく正直に流れ者の雄ネコに会っ
たことを後悔しているそぶりの反面出会いに溺れている
風情を見せていました。

大世帯となった金魚たちを全て飼いきれないので友達に
をかけたところもらってくれる人が2~3人いたので
5~10匹づ
つお願いした。
それでも、水槽の中はかなり密である。餌も馬鹿になら
い。千円買ってきても1ヶ月ともたない。
ネコからの防備対策として100均にて買った金属製の蓋
(水槽の大きさに合わせ桟)で覆い
上に2Lのペットボト
ルに水を入れて2~3本のせておいた。

これで、通常は興味を持つネコでもペットボトルをのけ
金魚をねらうのは無理である。

 

先日会った流れ者の雄ネコがまた現われた。流し目で通
り過ぎた。何か気になる。
タマちゃんの変わり様はひょっとしてこの雄ネコが関係
しているかとうらやましく想像した。まだ、私には遠回
しに近づいてくるやに思えた。怖いようなじれったいよ
うな日々が過ぎた。

 事件は、令和2年3月15日未明に起こった。
朝、目覚めて金魚の餌を与えようと一つの水槽を見て驚
いた。この水槽の金魚が全部いない。
蓋をした上に2Lのペットボトルを2個のせておいた。
簡単には、ネコの力では蓋を開けられないはずである。
ペットボトルが水槽の上から転げ落ちている。
蓋は、半分以上が開けられて一匹も残さず食べられて
た。

金魚を食った生くさい匂いが近づいてくる。
春の朝、穏やかな陽ざしの中でくつろいでいた私に鼻を
くすぐるこの匂いは刺激的であった。
ぐるぐると媚びるような誘うような声音に不安の中に甘
やかな期待を抱いて恐る恐る大胆な行動に自分を疑った。
不覚にも流れ者ネコに近づいていた。
その瞬間、私の身体全体を重く包むように覆い被さった
後、下半身に衝撃が襲った。
しばらくは、動くことも出来ずうずくまったまま夢遊病
者のように苦痛とも喜悦ともつかぬ時間が流れた。
その後の空白感に身を任せていた。

翌々日、次の水槽も同じようにやられた。
最後に残った水槽は蓋を厳重にした。
蓋を水槽に縛り付けてレンガを5個のせ、ペットボトル
を2本のせた。
こうして被害をやっと防いだ。

 

雌猫は一回の交尾で100%妊娠、2ヶ月で出産2~8匹
生まれる。
子猫が離乳すると母猫は発情、従って雌猫は、6ヶ月毎
に産み育てる。
雌の子猫は、10ヶ月でおとなになり子猫を産むことが
できる。そうである。
野良猫が増えていく。(東京都福祉保健局)

 

今、生き残った金魚は、10匹足らずとなった。厳重に
ガードして餌やりも水替えも大変に手間がかかる。

 

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