中学英語で読む源氏物語
中学英語で読む。
A long time ago. there lived an emperor.
He had many wives ,but he loved one lady the most ー
Lady Kiritsubo.(以下中略)
昔、一人の帝がいらっしゃいました。
帝は、多くの妻とくらしていましたが、ことのほか一人
の女性「桐壺」をこよなく愛していました。
People whispered that the emperor loved one woman
too much.
“It is not good for the country to give one woman so
much attention” they said.
But the emperor did not listen.(以下中略)
ひとびとは帝が一人の女性を愛しすぎることを心配しま
した。
”一人の女性に余りにも愛情を注ぐことは国にとってよく
ないことだ”と
しかし、帝は聞く耳を持ちませんでした。
One day ,Lady Kiritubo gave barth to a beautiful baby
boy.
He was the emperor ‘s second son.(以下中略)
日はめぐり、桐壺はうるわしい男の子を産みました。
帝の第二皇子でした。
Lady Kiritsubo passed away that night.
Her son went to stay with his grandmother.
He was too young to understand his mother’s death.
He looked puzzled to see others cry. How said!
桐壺は、その夜、亡くなりました。皇子は、祖母のところ
で暮らすこととなりました。幼い皇子には母親の死を理
解できませんでした。他の人々が嘆き悲しんでいるのを
見て戸惑っていました。(以下中略)
Many seasons passed,but the emperor never forgot about
Lady Kiritsubo and live in tears.
One day ,he heard about the fourth princess of the previous
emperor.
People said that she looked exactly like Lady Kiritsubo,
The emperor became curious and invited her to the court.
She became his wife and was given the name Fujitsubo.
季節は巡りましたが、帝は、桐壺のことが忘れられず、涙に
くれていました。
ある日、帝は、前の帝の四番目の皇女のことを聞きつけま
した。帝は関心があったので彼女を宮廷に招きました。
全くその皇女は桐壺そっくりでした。帝の妻となり、藤壺と
名乗りました。(以下略)
(中学生の基礎英語レベル1から抜粋)
初めての小説読書体験
中学2年生の時、先輩(3年生)から一冊の小説を「読んで
みたら・・」と貸してくれました。
それは、武者小路実篤の「友情」でした。
全てを理解することは困難でしたが、友と恋人との間で苦悩
する男と失恋した男を描いた青春小説でした。
主人公野島は、杉子という女性に一目惚れし「こんな無垢な美
しい清い、思いやりのある、愛らしい女」しかも、背が高く、純
粋で、溌剌とし、はっきりものを言う聡明な女性を片思いしま
す。
野島の友人、大宮は、野島の理解者であり親友です。性格も良
く立派な体格、別荘もあり上流階級に属している男です。
野島は、親友大宮に杉子に片思いをしていることその胸のうち
を打ち明けます。大宮も野島を応援すると励まします。
しかし、野島と杉子との間は一向に進展せず、むしろ杉子は
大宮に心を引かれていきます。
大宮は、突然、渡仏を思い立ちます。表向きは、勉学のため
ではありましたが、野島と杉子、友情を大事にするか恋愛を
選ぶか迷った末に二人から離れることにしたのです。
大宮の渡仏後、野島は杉子にプロポーズしますが体よく断ら
れます。
やがて、大宮から来た手紙を読んだ野島は、愕然とします。
友情を裏切った大宮を怒り、悲しみに暮れます。
その手紙には、「同人雑誌に掲載した小説に事の一部始終
がわかるから読んでくれ。」と大宮からの謝罪がありました。
その小説は、東京の杉子とパリの大宮との間で、手紙のやりと
りによって二人の深まっていく恋の成り行きが描写されてい
ました。
この武者小路実篤の「友情」を先輩に返すとそれと交換に
夏目漱石の「こころ」を渡されました。
この小説は、主人公は、友人を自殺に追いやり、その罪悪感
から自分も自殺を図ります。
主人公は、下宿先の娘さんに恋をしています。その同じ下宿
先に友人を紹介して下宿させます。
友人が、下宿の娘さんを好きになったと打ち明けられてビッ
クリ。
自分も娘さんが好きだことを言わずに先を越して、娘さんの
母親に娘さんを下さいと相談します。二人の結婚を認めてく
れました。
しかし、主人公は、友人にそのことを黙っていました。
友人は、主人公が、下宿先の娘さんと結婚することを知り自殺
を図ります。遺書には、「自分の性格では、行き先に望みが
ないから~」と失恋のことはなにも書かれていません。
友人を出し抜いて下宿の娘さんと結婚したことの罪悪感、しか
も、友人に事後、なんの言い訳も、説明もしません。
そして、妻となった下宿先の娘さんにも友人との経緯を話して
いません。
結婚後、数年して主人公も、自殺しました。
中学2年生では、二つの小説のような友情関係もないし、まして恋愛経
験もありえなかった。
人を愛することは素晴らしいこと、なのに人には内緒にして自分の中で
密かに楽しむ。人にしゃべった事によって自分の愛をもぎ取られる結果
になってしまった。
しかし、14年の人生経験からの知識、感情等からこの読書は心の中に
深く刻まれて人とのであい、ふれあいの中に憧れと好奇心とを植え付け
てくれた。
今の中学生は、英語で読む源氏物語に何を感じるだろうか?
また、青春小説「友情」や「こころ」を読むでしょうか?