赤いマニキュア

囲碁道場
市内の公民館等に囲碁サークルがあり毎週
土曜日などに対局が行なわれている。

NHKテレビ囲碁トーナメントの司会者星合
志保さん3段は、上北台公民館の囲碁サーク
ルに席を置いたことがあると聞いたことがあ
る。

私の囲碁経歴は長く、小学生3年生頃から始
めた。夏休みは、朝から友達と夢中になって
一日中打っていた。
ところが、中学生になってからは受験もあっ
てすっかり止めてしまった。
再開したのは、職場で昼休みに上司や同僚に
付き合い程度に打っていた。殆ど進歩はなく
石のとリ会い、いわゆるザル碁であった。本格的に囲碁を始めたのは、現役引退後65歳
を過ぎてからである。
中央公民館の囲碁サークル中央囲碁クラブは、
日本棋院からプロ棋士を派遣していただいて
基本から対戦まで教えてくれるということで
このサークルに入会した。
10年経過してアマチュア3段と仮認定しても
った。
その間、現役時代のOBの囲碁サークルに入っ
て月一回対戦(1日4局対戦)に望んだ。

対外戦で実力確認
対外戦に参加して自分の実力を確認するため
日本棋院等で行なわれる囲碁大会に積極的に
申し込み参加した。
対外戦は、時間制限があり対戦時計を操作し
て持ち時間内に打ち終わらないと時間切れで
負けとなる。

宝酒造杯で棋力判定
お酒でお馴染みの宝酒造株式会社と日本棋院
主催の囲碁大会に参加して自分の棋力を判定
した。


宝酒造杯は、地区予選大会が全国で行なわれて
いる。関東地方では、東京大会や横浜大会が
あり予選で地区代表になれば京都の全国大会
に招待されて日本一を決める。

地区予選大会は、参加費は、4,000円で5局
対戦する。
①3賞以上すると段級位の免状を申請出来る。
②お酒の試飲が出来る。(昼食時)
③お昼に有名割烹店のお弁当が食べられる。
④お土産に参加賞と3勝以上勝ち越せばお酒
5合壜や1升壜が賞品として頂ける。

 

東京大会は、丸の内にある東京国際フオー
ラム(旧東京都庁舎)にて参加者段位、級
位合せて800人~1.000人の参加者で行なわ
れる。
3段の仮認定であったが、初めての東京大会
は、2段で参加して3勝2敗であった。5合壜
の賞品をもらった。2段で2~3回参加して勝
ち越していたので、試しに3段ででることと
した。

 

最終戦に敗れる
負けた原因を考えてみると実力がなかったと
思いたい。
2勝2勝と残す最終戦に臨んだ。昼の試飲の酔
いが多少感じられた。対戦相手は女性であっ
た。脳裏に一抹の不安がよぎった。何だろう?

女性が、囲碁で興じている様子は、古典文学にも多
見られ、平安時代の源氏物語に出てくる女君達の間
でも
楽しまれていた。

日本棋院に席を置いてるプロ棋士は、約350人そのう
ちの
2割約70人が女性棋士である。


その対戦相手は、40歳代の華奢な感じの品の
良さそうな女性で
あった。


打っていくうちに相手の打ち方つま
り石の置
き方に妙な手つきが気になった。

女性は、爪に赤いマニュキアをしていて石を置
く手つきが空中で一回転して石を打つ。右に
一回転。次に打つときは左に一回転。赤いマ
ニュキアが
舞う。
その仕種を目で追う対戦者に脳に伝わる神経
を狂わせるのである。
しかも、その動きにほのかに漂う香水のかお
りにめくるめく脳のしびれに
手筋を乱された。

中盤戦にさしかかっているのに残り時間は数
分であった。形勢は悪い方へと傾いていた。
顔は、ほてる、頭は、集中力がない。先が読
めない。時間切れとなり破れる。

しなだれる表情を見破られる
対局が終了して会場を出て有楽町駅方面に
向かって
悄げて歩いていた。後ろから声を
掛けてくる50歳ぐ
らい男性が、”酒飲まな
いからこれもらってくれる”

と一升瓶を差し出した。
”すみません、いただきます。”

ずしりと重い。うれしかった。何だ、俺の
喜びは一
升瓶だったのか。3段を証明でき
なかったが。まアーいいか。

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