源氏絵で読む

源氏物語を源氏絵で読む

源氏絵は源氏物語絵の略で絵巻や画帖そして屏風などがある。
有名な絵巻では、徳川美術館と五島美術館の「源氏物語絵巻」
がある。
十年前、瀬戸内(寂聴)源氏を全巻読んだが、今回、コロナ
禍のステイホームを利用して源氏物語のあらすじを追って
境の一時を過ごそうと源氏絵から光
源氏の恋の遍歴の一端に
妄想(おもい)をはせた。

 

マザコンかロリコンか
誕生母母の死
光源氏の母親桐壺更衣は、帝の寵愛を一身に受け光る君(
光源氏)を出産する。しかし、他の妃たちの嫉妬に心労が重
なり里帰りしていたが間もなく息をひきとった。
元服・結婚
光源氏は、12歳で元服、葵の上と結婚するが左大臣家(葵の
上の実家)にはあまり寄りつかなかった。

 

                                               桐壺帝 ー 桐壺更衣

             光源氏

元服の折に左大臣の娘葵の上(16歳)が添伏(添い臥し)
(そいぶし・・・皇族の東宮、皇子など元服の夜、身分、年
齢の釣り合った女性が添い寝する。当然、そのまま正妻とな
る)し結婚した。

             

母親そっくりの継母

帝は、後添えとして光源氏の母親桐壺更衣に生き写しの藤
の宮を入内させる。光源氏は、亡くなった母、桐壺更衣に

ている継母の藤壺に憧れて一途な思慕を抱くようになる。

    桐壺帝→ 藤壺の宮ー光源氏

藤壺そっくりの少女
その頃、光源氏は、熱病を患い、治療、静養のため山寺の高
僧に病気平癒の祈祷をお願いしていた。その寺の垣根越しに
祖母と十歳ばかりの美しい少女を見つける。光源氏は、その
少女が、憧れの継母藤壺にそっくり似ていることに驚く。
実は、この少女は若紫といい、藤壺の兄の子ども(姪)、母
に先立たれて祖母に育てられていた。
その後、祖母の死により光源氏は、若紫を引き取り育てる
ととする。

あってはならない
光源18歳の時、藤壺23歳は、病のため里帰りして療養をし
いた。
恋慕う光源氏、チャンスとばかり側近の女房に頼み込んで夢
の逢瀬をとげる。やがて藤壺は光源氏の子を宿す。一夜孕み。
藤壺は、宿運の重さに悩み、光源氏は、将来、この子の父と
なる運命を思いやる。

 藤壺の宮ー光源氏

夕霧

 

正妻の出産と死
光源氏二十二歳、正妻葵の上は、出産を間近にして物の怪に
苦しみながら男児を出産するが、葵の上は、数日後に亡くな
る。

その物の怪は、光源氏の愛人が嫉妬に狂って生き霊となり葵
の上をとり殺した。

艶のある長い髪
葵の上の喪があけ自宅に帰った光源氏を待っていたのは十四
歳になった愛らしく大人びた艶のある長い髪の若紫である。
まもなく二人は、
新枕を交わし夫婦となる。

        

無防備か開放的か
継母藤壺が、病気療養のため里帰り中。藤壺に仕えている女房に頼
み込んで
病床に潜り込んだ光源氏。
多分、女房にお継母さんの見舞い
とか言って面会したのだろう。
しかも、あろうことか病気療
養中の帝の后を禁忌中の禁忌である密
通してしまうのである。
桐壺の更衣・・・腺病質で弱々しくたいそうつや美しく可憐、
立ちや姿のやさしい心ばえが穏やかで角がなく憎めない
藤壺の宮・・・顔立ちやお姿、なにからなにまであやしいまでに
桐壺更衣に生き写し、どこまでも奥ゆかしくこちらが気恥ずかし
くなるような優雅な物腰

(瀬戸内源氏から)
これらの表現からでは、桐壺更衣の目鼻立ちなどの容貌は、わか
らずスタイルも定かではない。

また、藤壺の宮の”顔立ちお姿”がどのように桐壺に生き写しかが
具体的には描かれていない。
いずれも長い黒髪と下ぶくれの面長のふっくらとした顔に細い筆
線でやや長めの目を引き同じ筆線で鈎状の鼻、特徴
ある引目鈎鼻
で描かれている。

 

 

 


身代わり(面影を追う親子)

桐壺帝は、亡くなった桐壺更衣の面影を追って顔立ち姿、何から何
まで生き写しの藤壺の宮を入内させる。

光源氏は、この継母との出会いの時は、9歳、藤壺の宮14歳。

 

光源氏は、藤壺への思慕の思い深く面影を追って若紫に引かれてい
く。

「・・・・実は、限りなく心を尽くして恋慕っているお方にこの子が
あまりにもよく似ている・・・」

「・・・あの恋しいお方のお身代わりにあの子を側に置い
て明け暮れのなぐさみにしたいものだ。・・」

(瀬戸内源氏)
光源氏18歳、若紫10歳。

桐壺帝、光源氏親子とも女性に対するタイプ(好み)が同じであった。
これは、大変危険
なことであった。

その後、「野分の巻」では光源氏の子、夕霧が、嵐の後、見舞に訪れた折り、紫
の上を垣間見て、”春の曙の霞の間から美しい樺桜が咲き
乱れているような紫の上
の姿を見てその美しさに呆然とする”ー紫の上28歳ー

それまで、父親の光源氏は、子どもの夕霧に紫の上を会わせなかったのである。

因果応報
光源氏
40歳を迎えようとしていた。四十賀の祝いも用意されていた。
そのころ、朱雀院は、皇女(娘)に有力な後ろ身に
ふさわしい身分の婿選びをして
いた。数人の候補のなかから光源氏に白羽の矢が立てられる。年齢差(皇女女三の
13歳)もあり一端断るが藤壺の姪でもあることで心が動く。紫の上は、事の重大
さに心はちりぢりに乱れる。(紫の上には子どもがいなかった)
光源氏の四十賀の祝いも終わったころ女三の宮は、六条院の光源氏のもとに降嫁し
てきた。

内大臣(元頭の中将)の息子柏木は、以前から女三の宮に恋心を抱いていた。
春三月うららかな日、柏木は、友と蹴鞠をしていた女三の宮の飼って唐ネコ
が、寝殿から飛び出してきて御簾を引き上げたため中にいた女三の宮が顕わ
となっ
た。かねて女三の宮に思いを寄せていた柏木は、その姿を垣間見てさら
に思い
を募らせることになる。女三の宮の女房を介して女三の宮のもとに忍
び込み
思いを遂げてしまう。
そして、女三の宮は、妊娠してしまう。いぶかしく思った光源氏は、柏木から
の恋文を見つけて秘密は露見する。
女三の宮は、不義の子、薫を出産し、その後、出家する。また、柏木は、光源氏
からのいじめに遭い病に伏しやがて亡くなる。
光源氏は、かっての自らの過ちを思い出す。

参考:「源氏物語を読む」(高木和子著)、「源氏絵と伊勢絵」(出光美術館)

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