おみたらし
おみたらし
蔵敷の御嶽神社境内です。
社殿の右側、自然石の石神の近くに湧き水の小池があります。
地元では「おみたらし」と呼びます。その前です。
「みたらしと聞くと、下鴨神社の御手洗祭とみたらし団子が浮かびます。何か関係があるのですか?」
「府中市の浅間山におみたらしって湧き水がありますよ」
「確か、神奈川にもあった」
どんどんと話は広がります。
御嶽神社の「おみたらし」は次のような話を伝えをします。『東大和のよもやまばなし』から紹介します。
「蔵敷の高札場(こうさつば)の裏山・熊野神社の少し東側に御嶽神社があります。
細い道を入り、鳥居をくぐると山の途中に赤い屋根にスチールの扉がついたお社があります。扉をあけると中に小さな木の祠(ほこら)があり「御嶽神社」と書いたお札(ふだ)がはってあります。
お社のすぐ右側に百三十センチメートル四方位の池があります。この池は、「御嶽神杜のみたらし池」と言われ、どんな時にもかれることのないきれいな湧き水でした。
「御嶽神社のおみたらしで眼をあらえば、眼の病いがなおる」と
いう言い伝えがありました。
今でもこのみたらし池の湧き水は見ることができますが、眼病にきく霊水(れいすい)としての信仰があったことを知る人は少いようです。」(『東大和のよもやまばなし』 p36)16
東大和市域に眼科の医院がいつ頃開かれたのか調査中ですが、昭和20年代はじめにはありませんでした。眼病にきく霊水はともかく、目の病の治癒祈願に、訪れる方も多かったと伝えられます。それだけ切実だったことが偲ばれます。
また、昭和の半ばまで続いた雨乞いの際は、普通は青梅の御嶽神社、所沢の水天宮、井の頭の弁天様に祈願の霊水をもらいに行きましたが、蔵敷では「おみたらし」の水を汲んで、熊野神社で行事をしたと伝えられます。
御嶽神社への路は分かりにくく、市立郷土博物館の前の路か、青梅街道の蔵敷バス停、高札場からの路が参道に接しています。
(2018.10.21.記 文責・安島喜一)