居残り様
東大和市に伝わる民間行事を調べています。
11月20日は「恵比須講」(えびすこう)の日です。
親しい、古老に
「おめえだって、古老じゃねえか」
と冷やかされながら訊ねました。
「どのようにして、おまつりしたんですか?」
「もう、ほとんど、やる家は、なくなったんべ。」
と云いながら思い出してくれたのが次の話です。
この日は、恵比寿様と大黒様の二神を神棚からおろして飾り付けをします。
掛け軸の場合もあるし、大黒様は居ない場合もあります。
・朝は、尾頭付きの魚、赤飯
・昼は、うどん
・夜は、けんちん汁
を捧げます。
そして、一升枡(いっしょうます)の中にお金を入れて
「マスように、マスように」
とお祈りします。
「なんで恵比寿様なんですか」
「10月は神無月だんべ、神様は出雲へ行ってよ、こっちは留守になんべエ。
そん時、居残って、おれーら守ってくださんのが恵比寿様よ。
感謝しなくっちゃ、しょうがんめエ」
「居残り様ですか! いい話ですね・・・。朝・昼・晩と大変ですね」
「あに、女しも子供衆も大喜びよ。子供は小遣いもらえるし、そん頃は、魚も、赤飯もご馳走だっただからな」
「でも、感謝しながら、増すように、増すようにって、お願いされると、恵比寿様はかえって負担になるんじゃないですか?」
しっかりしてますよね。これだから厳しい時代も潜り抜けられたんでしょうね。戦後まで続いたそうです。
居残りの葉の元に新芽が用意されていました。(2016.11.18.記)