最初の公民館「東大和市立公民館」(後に南街公民館)

最初の公民館「東大和市立公民館」(後に南街公民館)

 東大和市の最初の公民館は、昭和46年(1971)6月15日に開館しました。
 「東大和市立公民館」(南街六丁目・老人福祉館の隣)です。

最初の東大和市立公民館 10年間資金を積み立てて実現した。
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 待ち望まれていた最初の公民館であったため、大歓迎を受けました。
 その開設されるまでの経過を辿ります。
 東大和市は明治の頃から教育熱心なまちでした。しかし、施設には恵まれませんでした。
 昭和40年(1965)の状況です。

場所がなくて、青梅信用金庫で行われた「家庭教育学級」
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 会場が青梅信用金庫大和支店大会議室になっています。
 社会教育熱が高まり、いろいろな講座が求められましたが、会場がありません。小学校の放課後の教室などを借りて行われていました。
しかし、午後1時30分~4時というような時間帯は学校施設を使うことは無理でした。そこで、信用金庫の大会議室を借りたのでした。

 どうにかしなくてはいけない。幅広い立場からの多くの声が起こりました。
 その4年前です。
・昭和36年(1961)1月、「大和町公民館設置促進同盟」が結成されました。数人の集まりです。
 南街地域に住む青年達が中心でした。消防団の詰め所を借りて活動しました。
・同盟は3月、「大和町議会に公民館設置促進の請願」を出します。長いですが引用します。

 第一号請頴

 公民館設置に関する請願
 一、受付年月日 昭和三十六年三月十一日
 一、請願者 谷沢頼和ほか八名
 一、紹介議員 古滝直衛ほか十八名
 一、請願要旨

 大和町は、町制施行以来発展の一途をたどつているが、社会教育の面については、立ち
遅れを否定できない事実となつている。
 教育の振興、就中社会教育の振興は、地方公共団体にとつて基本的行政施策である。
 これを実現するために、町民の心のよりどころとして広範囲にわたる機能を備えている
公民館活動が、その基そとなつていることは、他町村の例からみても明らかである。

 現在公民館の設置は、国の方針と相まつて、全国的傾向であり、併置館を含めると、八〇
%がその実施をみている状態である。

 以上の点から、とくに次のことを要求する。

 一、公民館を速やかに設置すること
 一、本議会においては、次の具体的処置をすること。
  1 公民館設置のために積立金を設けること
  2 公民館設置のための公民館設置条例を制定すること
  3 公民設置のために特別調査機関をおくこと
  4 公民館設置のために公聴会を開くこと

 右のとおり請願する。」(『東大和市史資料編』4p143)

 いかにも、当時の青年らしい言葉遣いです。
 後で議員さんから
「今の若者にはかなわない。要求されちゃったよ。ちったー、云い方に気をつけてもらいてぇー。でも、あの熱にや負けた」
 と聞きました。
 総勢20人の議員の内18名が紹介議員になっています。事前の熱い交渉が続けられていました。
 請願は3月23日、審議され、継続審議となりました。
 そして、請願した項目の一つ積立金の設置が実現しました。昭和36年度予算に100万円の公民館建設基金が積立られ、以降積み立てが継続されることになりました。
 それから10年、地道に運動が続けられ、ついに、昭和46年(1971)、公民館が建設されました。

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 総工費約2.200万円、
 ▽規模 鉄筋コンクリート造り・二階建て・延べ面積416.79平方㍍
 ▽内部施設翻
 (一階)図書室、ホール、車務室、管理人室
  (二階) 和室、学習室、ロビー

最初の公民館位置図 クリックで大

 開設当時の利用の状況についての資料がなくて残念です。やむを得ず、平成27年度(2015)の資料を紹介します。
 注にあるように、平成5年(1993)に、新しく市民センターが建設され、その2階に南街公民館が開設されました。その資料ですが、多くの定期利用グループが育ち引き継がれていることを明らかにします。

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 また、昭和60年度(1985)版『東大和の社会教育』は次のように活動を記録します。
 各年齢層を通して利用されました。

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新たな建物への移転

「東大和市立公民館」は昭和49年(1974)中央公民館開設により、「南街公民館」と名前を変えました。

2009年(平成21年)の旧公民館の姿 クリックで大

 さらに、平成5年(1993)、南街二丁目に下画像の南街市民センターが開設されて、南街公民館はそこに移転しました。
 旧施設は、教育相談室、市史編纂室となり、やがて廃止されて、建物は解体、用地は処分されました。

南街市民センター 2階に南街公民館がある クリックで大

 最初の公民館はこの市民センターの2階に移り、南街公民館として活動を継続しています。
 すっかり姿を無くしましたが、東大和市の社会教育施設の歴史をつぶさに語ってくれます。

 (2020.09.01.記 文責・安島)

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