「きつねの嫁どり」(モニュメント7)
「きつねの嫁どり」(モニュメント7)
「これキツネさんでしょ?」
「そうね、女の子みたい」
「いらっしゃいって、云ってるの?」「・・・・・」
「うん、でも、ナンカ、云えなくて、モジモジかも」
「いや、初めましてでしょう」
「おすましかも・・・」
東大和市高木、仲原緑地の一角、緑道を歩く親子と人々が集まります。
このモニュメント、題は「きつねの嫁どり」です。話の出所は、6キロほど北側の村山貯水池に沈んだ石川の里です。
市の作品紹介では次のように説明しています。
「昔、村々に電灯のつかなかった頃のことです。遠く東京の空にネオンが明るく見えると、とても珍しくて「あれが東京だべ」と空を眺めていたそうです。
その頃「きつねの火が通るで見ろや、見ろや」と言われて狭山丘陵の方向を見ると、丘陵の尾根をポーッと赤い火がついたり消えたりし、いくつもいくつも並んで動いていることがあったそうです。
まるで嫁どりの時のちょうちん行列が歩いてくるかのように、見えたそうです。そしてふっと消えてしまうのだそうです。」
「それが、なんで、この緑地にあるのさ」
「ちっとも不思議じゃないよ。当時は石川の里から一峰越して狭山丘陵を下ると、玉川上水・野火止用水まで一面の畑だったでしょう。だから、上水のキツネと石川のキツネはお互いに訪ねっこして、真ん中でデートしたんだ」
「それ、本当・・・」
「まったく、あてにならないんだから」
『東大和市のよもやまばなし』は「いたずらぎつね」「娘っこに化けた狐」など、狭山丘陵と野火止用水辺を舞台にした狐の話を伝えます。蔵敷の畑では、タヌキが今も行き来しているようです。
仲原緑地は用水北緑地に接続し、そこには、モニュメント「つけ木の受け取りメモ」があります。
(2019.02.23.記 文責・安島喜一)